目次
1 前衛の歴史、前衛の論理
2 映画というイデオロギー装置と表象の問題
3 前衛映画の活動戦略
第2章 前衛映画は何を使命とし、どう振る舞うのか
1 映画に固有なものを解き明かす
2 既存の設備や機材に疑いをもつ――新たな造形性のための技術開発、既製品の転用や拒否
3 産業体制と同じものを使いつつ、その可能性を最大限に汲みつくす
4 物語を語るための新しい叙述形式を生みだす
5 世界を記録し、事物をあるがままに描写できる映画の特性を掘り下げる
6 現象の切り取り方の規範に異議を唱え、その組み立てや組織編成において新しい形態を提案する
7 社会が目を逸らす映像をあえて作り、流通させる
8 政治闘争を先取りする、あるいはそれに同行する
9 映画をほかの芸術(哲学、文学、音楽、絵画、ダンス、ビデオなど)と結びつけ、「芸術の超克」への道を開く
10 過去と現在の映像の役割と機能を問う
11 いま、ここに、多幸症的であれ、憂鬱なものであれ、もう1つの別世界を打ち立てる
12 象徴の世界から脱け出す
第3章 映画が爆発する―2000年代の映画
1 ヴィルジニー・デパント&コラリー・トリン・ティ『ベーゼ・モア』― 快楽が押収されるときに
2 ペドロ・コスタ『あなたの微笑みはどこに隠れたの?』&シャリフ・ワケド『チック・ポイント』― 革命的人文主義のルネサンス
3 ムニール・ファトミ『神は私を許したもう』―映像は噂のようにゲットーを流れ……
4 アクラム・ザアタリ『この家のなかで』― 創造的記憶
5 レベルデミュールの設立― 批評家の使命
6 若松孝二『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』―歴史的試練にかけられるとき
7 レック・コワルスキー『カメラ・ウォー』― 個人は暴動のように
8 アンドレイ・ウジカ『ニコラエ・チャウシェスク自伝』― 政治権力への憎悪を映像に込めて
9 マリレーヌ・ネグロ『Xプラス』― 民衆を見せる方法をあらたに打ち立てる
10 ジャン゠リュック・ゴダール『ゴダール・ソシアリスム』― 映像の共和国
第4章 必読テキスト12
1 レイモンド・ダンカン「労働の真の目的」、1912年
2 衣笠貞之助『狂った1頁』(1926年)をめぐるインタヴュー、1975年
3 ジャン・エプスタン『悪魔の映画』、1947年
4 エドゥアール・ド・ローロ『ブラック・リベレーション』、1967年
5 ジャン゠リュック・ゴダール「何をなすべきか?」、1970年
6 足立正生『赤軍―PFLP・世界戦争宣言』冒頭、1971年
7 レイモンド・カラスコ「アルトーのあとに」、1984年
8 ハヴン・デ・ラ・クルス「デジタル十戒―映画なき国フィリピンのためのマニフェスト」、1999年
9 リオネル・スカズ「張善宇の『バッドムービー』について」、2002年
10 ルネ・ヴォーティエ「社会3画の映画のための定義と原則」、2003年
11 フィリップ・グランドリュー「映画を教えることについての手紙」2009年
12 ピーター・ホワイトヘッド「はじめに映像があった。しかしその前に、前衛があった……」、2010年
第5章 正典に反対して
注
フィルモグラフィー(年代順)
参考文献
謝辞
解題 アヴァンギャルドとは何か、何だったのか 佐古節子
1 花田清輝の失望
2 語源と概略
3 モダンであること
4 誰がアヴァンギャルドを論じてきたか
5 運動は流派ではない
6 行動と闘争、ユートピアと実験
7 芸術家の孤独と誘惑
8 科学と政治
9 ポストモダン的弛緩
10 近代日本の問題
後記
内容説明
情熱とは砂をも燃やすものだ。
前衛はそこかしこに存在している。
眼差しとは政治だ。語り口だけが現実だ。
すべてを白紙に還元し、無限遠点に標的を定める。
フランスの映画研究の最前線がここにある。
ニコル・ブルネーズ氏 11月上旬来日
日程が決まり次第「お知らせ」でご案内いたします。