内容説明
社会的混沌の渦中より人類と宇宙との普遍的調和を執拗に追究した「シャルル・フーリエの熱狂的な影」(A・ブルトン)が、再び現代に聳え立たんとしている。1808年に刊行された本書『四運動および一般運命の理論』において彼は、万有運動を社会的・動物的・有機的・物質的の四に分類し、独自の思想大系を樹立するが、その奇矯極まりなき予言癖と想像の放浪癖に加えて、奔放自在、傍若無人に駆ってくり拡げられる未来社会論こそ、人間的感性の涯しなき可能性を縦横に謳い、爆発する詩的想像力を日常世界に顕現化したものに他ならない。歴史哲学、人間学、宇宙論、博物学、心理学、経済学を包括するフーリエリスムの広大な円環は、神秘主義思想を土壌に社会主義思想と詩的ヴィジョンを結合し、古今独歩の思想大系として結実する。今世紀のシュールレアリスム運動によって再発見されるまで、文明理性の迷妄とブルジョア社会の貧困に無視され続けていた新社会の予言者にして欲望の全的解放者フーリエの処女作。