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歴史の審判に向けて 上 ジョレス・メドヴェージェフ ロイ・メドヴェージェフ選集第1巻 新刊

スターリンとスターリン主義について

歴史の審判に向けて 上

スターリンのソ連を、歴史学および哲学の立場から描いた戦慄と驚愕のドキュメントが織りなす壮大な研究。

著者 ロイ・メドヴェージェフ
佐々木洋
名越 陽子
シリーズ ジョレス・メドヴェージェフ、ロイ・メドヴェージェフ選集
出版年月日 2017/10/26
ISBN 9784329100016
判型・ページ数 A5・534ページ
定価 本体5,600円+税
在庫 在庫あり
 

目次

著者より
第一部 スターリンの党への抜擢と地位の高まり
 第一章 全連邦共産党(ボリシェヴィキ)党首としてのスターリン
  一九一七年以前のスターリン
  一九一七年のスターリン
  民族問題人民委員部を率いて
  国内戦時代のスターリン
  V・I・レーニン側からの支持
  V・I・レーニンの死
  V・I・レーニンの「遺言」について
  一九二三年から一九二四年のI・V・スターリン

 第二章 スターリンの反対派との闘い
  いくつかの前置き
  L・D・トロツキーについて
  第十二回党大会と一九二三年春の政治局内部の闘争
  一九二三―一九二四年のトロツキスト反対派との闘い
  G・ジノヴィエフとL・カーメネフについて
  「新」反対派との闘い
  M・V・フルンゼとF・E・ジェルジンスキーの死
  一九二六―一九二七年の「合同」反対派とその闘い
  N・I・ブハーリンについて
  「右翼」的傾向とのスターリンの闘争

 第三章 農業集団化と工業化実施上におけるスターリンの誤謬と犯罪
  ソ連邦における協同組合と農業集団化の前提
  一九二七―一九二八年の穀物調達の困難とスターリンの政策
  農業集団化における歪曲と誤謬について
  農業集団化と正教会への新たな迫害
  階級としての富農の絶滅
  一九三二―一九三三年の農村における行政的弾圧
  一九三二―一九三三年の農村の飢饉
  ソ連邦における国内身分証明書制度の導入について
  工業化実施上の欠陥と誤謬

 第四章 一九三〇年代初頭の国内・国外情勢の緊迫化 スターリンの新たな犯罪
  ソヴィエト権力と「ブルジョア」インテリゲンツィア
  一九二八―一九三〇年の政治裁判
  産業党裁判と連邦ビューロー裁判
  一九二八―一九三一年の政治裁判の偽りの性格
  裁判劇の舞台裏
  インテリゲンツィアと専門家のあいだにおける大量弾圧
  ネップの終結
  弾圧と党内体制の苛酷化
  スターリンの妻N・アリルーエワの自殺
  社会科学と文学における困難な状況
  三〇年代初めの国際労働運動におけるスターリンの政策について
  国内と党内におけるスターリン崇拝のはじまり
  三〇年代初めのN・I・ブハーリン
  三〇年代初めのL・D・トロツキー

第二部 スターリンによる国家と党の権力奪取
 第五章 S・M・キーロフの暗殺。旧反対派指導者たちに対する裁判
  一九三四年、スターリンに対する「新」反対派の萌芽
  S・M・キーロフの暗殺
  一九三五年初めの弾圧
  一九三五―一九三六年の弾圧継続
  反対派旧指導者に対する最初の「公開」裁判
  ヤゴーダの転落とエジョフの登用
  「平行本部」裁判
  全連邦共産党(ボ)二月・三月総会
  「反ソヴィエト・右翼トロツキスト・ブロック」裁判
  モスクワの「公開」政治裁判の偽善的性格
  旧反対派のあいだでの大量弾圧
  三〇年代半ばと末期のL・D・トロツキー

 第六章 党と国家の主要幹部要員に対する打撃(一九三七―一九三八年)
  党、ソヴィエト、経済の中央機関の幹部要員に対する打撃
  セルゴ・オルジョニキッゼの非業の死
  N・K・クループスカヤの運命について
  レーニンと親しいその他の人々の運命
  共和国と州の党とソヴィエト機関の幹部要員に対する打撃
  労働組合組織と共産青年同盟組織の指導者の間の弾圧について
  赤軍幹部要員の壊滅
  NKVD、諜報機関、裁判所、検事局での弾圧
  諸外国の共産党とコミンテルン活動家に対する弾圧
  科学・技術インテリゲンツィアのあいだでの弾圧
  文学および芸術活動家の弾圧
  すべての人民層のあいだでの大量弾圧

 第七章 一九三九―一九四一年の復権と弾圧について
  エジョフの更迭とベリヤの任命
  ベリヤの政治的キャリアについて
  一九三九―一九四一年の部分的名誉回復
  一九三九―一九四一年の新たな弾圧
  一九三六―一九三八年の政治的弾圧に対する国際的反響

 第八章 審理と拘禁に用いた不法な方法
  囚人の拷問と虐待
  裁判の喜劇。監獄と護送宿営地
  矯正労働収容所のシステム
  NKVD職員の行動と責任について

上巻注

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内容説明

本書は「スターリン批判にかんする最高の、そして唯一の原典」と評した石堂清倫氏が翻訳した『共産主義とは何か』(三一書房、一九七三年)の増補改訂版である。
 ソルジェニーツィン文学が『収容所群島』で描いたスターリンのソ連を、歴史学および哲学の立場から描いた戦慄と驚愕のドキュメントが織りなす壮大なスターリンとスターリン主義の研究。
 同胞や多くの友人たちとの交流により、彼らの所蔵する資料や秘匿され封印されていた諸文書・手稿などに触れ、また未公開の「回想」や収容所を生き延びた元囚人の回顧や証言により、スターリンによる徹底した未曾有の密告・恐怖政治の起源と現実の過程を暴いた生々しい記録。
 著者が「真実を語ることを恐れる気持ちに打ち克つこと」を自らに課し、過酷な弾圧に曝されながら、それを貫いていることに驚嘆の念が湧く。
 タイプ稿の初版から二十年を経て、その間、アメリカのロシア研究者R・タッカーやS・コーエンらと学問的な交流を深め、トロツキー編『反対派ブレティン』などを精読して、大幅な加筆と削除、さらに書き下ろしを加えたより深化された論考となっている。

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