ホーム > 歴史の審判に向けて 下

歴史の審判に向けて 下 第1巻下 新刊

スターリンとスターリン主義について

歴史の審判に向けて 下

スターリンのソ連を、歴史学および哲学の立場から描いた戦慄と驚愕のドキュメントが織りなす壮大な研究。

著者 ロイ・メドヴェージェフ
名越 陽子
佐々木洋
シリーズ ジョレス・メドヴェージェフ、ロイ・メドヴェージェフ選集
出版年月日 2017/10/26
ISBN 9784329100023
判型・ページ数 A5・456ページ
定価 本体5,000円+税
在庫 在庫あり
 

目次

第三部 スターリン主義の発生と確立の原因と条件
 第九章 一九三七―一九三八年のテロを組織したスターリンの個人的責任について
  スターリンと一九三七―一九三八年の弾圧指揮
  「あざむかれた」スターリンの悲劇の問題
  スターリンは精神病患者であったか?
  スターリンの「永久」革命伝説
  スターリンの「民族」革命伝説
  スターリンの「反共産主義」革命伝説
  スターリンの行動に関するもう一つの異説
  スターリンの性格と彼の犯罪動機の再論

 第十章 一九三七―一九三八年の大量弾圧のその他のいくつかの理由について
  逮捕の連鎖反応―「木を切れば、木っ端が飛ぶ」
  政治犯罪の概念の恣意的拡大について
  広汎な大量弾圧への参加と密告の奨励

 第十一章 スターリンの権力簒奪を容易にした諸条件について
  問題提起に向けて
  再びスターリン個人崇拝について
  公開性と批判の自由の欠如
  一九三六―一九三七年のソ連の内外情勢について
  権力の集中と持続
  ボリシェヴィキ党の政治活動独占について
  党の統一に関するレーニン的見解のスターリンによる歪曲
  懲罰機関に対するスターリンの個人的支配
  社会主義革命における目的と手段の相互関係
  無理解、当惑、結束力不足
  党と国家機構の一部の官僚主義化と変質
  革命的幹部要員の一部での保守主義と教条主義
  社会主義国家の理論と実践のいくつかの問題
  統治機関に対する有効な監督の欠如
  ロシアとソ連の住民の教養、文化、民主主義的伝統の不足。スターリン崇拝と人民大衆

第四部 スターリンの個人統治 スターリン独裁のいくつかの結果
 第十二章 スターリンの外交的軍事的誤謬 戦時期のスターリン
  一九三九―一九四〇年のスターリンの対外政策
  フィンランドとの戦争
  一九四一年のスターリンの軍事戦略的誤算
  大祖国戦争時における司令官としてのスターリン
  大祖国戦争期の弾圧とその他の不法行為

 第十三章 戦後期のスターリンの犯罪と誤謬
  戦後期の不法弾圧
  人民民主主義諸国における不法な弾圧について
  労働者階級と農民の同盟の弱体化
  国家的反ユダヤ主義の発達

 第十四章 スターリン個人崇拝がソ連の科学と文化に及ぼした結果
  スターリンの個人崇拝と専横が社会科学に及ぼした影響について
  党史におけるレーニンの役割の引き下げ
  スターリンの理論的遺産の問題
  自然科学におけるスターリン個人崇拝
  スターリン個人崇拝が芸術と文学に及ぼした影響

 第十五章 社会主義と似非社会主義
  官僚主義の支配
  政治的セクト主義
  言行の不一致
  社会主義と似非社会主義

 結論
  スターリンの晩年
 スターリンの活動に対する全体的評価の問題にむけて
 
下巻注
解題 スターリン主義批判の記念碑的労作 佐々木洋
人名索引

このページのトップへ

内容説明

本書は「スターリン批判にかんする最高の、そして唯一の原典」と評した石堂清倫氏が翻訳した『共産主義とは何か』(三一書房、一九七三年)の増補改訂版である。
 ソルジェニーツィン文学が『収容所群島』で描いたスターリンのソ連を、歴史学および哲学の立場から描いた戦慄と驚愕のドキュメントが織りなす壮大なスターリンとスターリン主義の研究。
 同胞や多くの友人たちとの交流により、彼らの所蔵する資料や秘匿され封印されていた諸文書・手稿などに触れ、また未公開の「回想」や収容所を生き延びた元囚人の回顧や証言により、スターリンによる徹底した未曾有の密告・恐怖政治の起源と現実の過程を暴いた生々しい記録。
 著者が「真実を語ることを恐れる気持ちに打ち克つこと」を自らに課し、過酷な弾圧に曝されながら、それを貫いていることに驚嘆の念が湧く。
 タイプ稿の初版から二十年を経て、その間、アメリカのロシア研究者R・タッカーやS・コーエンらと学問的な交流を深め、トロツキー編『反対派ブレティン』などを精読して、大幅な加筆と削除、さらに書き下ろしを加えたより深化された論考となっている。

このページのトップへ

 
>