
目次
第二章 陽気な未亡人をよそおって――明末「白夫人雷峰塔」
第三章 放埒な白衣の妖女――南宋「西湖三塔記」
第四章 善妙は龍になったが――北宋「唐新羅国義湘伝」
第五章 悪しき女の抜苦のために――平安後期「紀伊国牟婁郡の悪女」
第六章 一途な思いなればこそ――道成寺説話のバリエイション
内容説明
熊野街道を脛(ルビ・はぎ)もあらわに女が走り、白夫人は中国近世の三都に出没する。
〈逃げる男・追う女〉型説話には、原型となるマザーがあるのか。
白川静門下の異才による稀有な文学的歴史叙述。
推薦の言葉
渡辺京二
深い井戸をのぞく
私は女を追う専門で、女から追われたことはない。しかし、追う女・逃げる男といわれると、何だか思い当たる節があるような気にさせられるのが、おそろしい。それが「原型」というものの威力なのだろう。著者はこの「原型」を示す説話が日本・朝鮮・中国に存在するといい、それぞれの成立と展開、さらには相互の関わりを跡づけ分析する。その手際の詳密、堅固もさることながら、それを「東アジア半月弧」なる魅惑的なイメージにまとめあげられては、とにかくページをめくらぬわけにはいかない。学者にあるまじき(失礼)文章上手に誘われて読み了えたときには、おのれの魂と、おのれが属する伝統の深い井戸をのぞきこんだようなくるめきに捉われているはずだ。
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